世の中には非常にすぐれたデザイン力を持った人がいるもので、日常のちょっとしたものをチマチマと作っている私には到底敵わないなぁと思うわけですが、このバイオリンもそのひとつ。

目次

The JAx Violin (Dragon)

https://www.printables.com/model/52215-the-jax-violin-dragon

以前からこのバイオリンはチェックしていて、でもいつ作ろうかなぁなんて思って月日が経ってしまった。でも、重い腰をあげてこれの製作に取り掛かります。

旅行時の気軽なバイオリンとして制作

子供がバイオリンを習っている。旅行中にも気軽に持って行けるバイオリンがあるといいなと思っていたのです。他にも3Dプリントできるバイオリンはあるんだけど、デザインのカッコ良さからこれに決定。印刷パーツは多いし、ネジなども色々必要なんだけど、スタイルに勝るものはなし!

必要工具

  • ハンダごて: ピックアップの再接続とインサートナット用
  • ハンダ: ピックアップの再接続
  • ニッパー: ピックアップ線の切断とビニール剥離
  • 熱収縮チューブ: ピックアップ再接続の絶縁用
  • ヒートガン: ピックアップ再接続の絶縁用
  • 電動ドライバー/ドリル: チューニングペグの穴拡張用
  • 3mm ドライバービット: チューニングペグの穴拡張用
  • 10mm 六角ナットドライバー: チューニングペグ用
  • 2.5mm 六角レンチ: チューニングペグM3ボルト用
  • 3mm ボールナット六角レンチ: M4ボルト用
  • リューター: カーボンファイバー切断用
  • カッティングディスク: カーボンファイバー切断用

必要部品

  • チューニングペグ
    • ギター用チューニングペグ: 左 x 2, 右 x 2
    • チューニングペグワッシャー: 4個 (チューニングペグ付属品)
    • チューニングペグ抑え: 4個 (チューニングペグ付属品)
    • M3 x 8mm ボルト: 4本チューニングペグ取付用
    • M3インサートナット: 4個チューニングペグ土台用
  • アンプ
    • ピエゾピックアップとアンプセット
    • 9Vバッテリー
    • M2 x 10mm ネジ (アンプセット付属品)
  • ネック
    • 8mm x 370mm カーボンファイバーロッド [*3]
  • 本体結合
    • M4 x 50mm ボルト: 3本 (ネック x 1 [*1], 肩当て+顎当て x 2)
    • M4 x 40mm ボルト: 2本 (チューニングペグ部 + ネック基盤結合 x 2,
    • M4 x 25mm ボルト: 9 (ネック基盤 + トップ結合 x 2, ベース + ネック基盤結合 x 6)
    • M4 x 16mm ボルト [*2]: 2本 (本体羽根部分 x 2)
    • M4 x 12mm ボルト: 2本 (本体羽根部分 x 2)
    • M4ナット: 18個
    • M6 x 25mm ボルト: 2本 (肩当て + 顎当て)
    • M6 x 10mm ロックナット: 2個 (肩当て + 顎当て)
  • 代用品候補
    • *1: M4 x 45mm 可
    • *2: M4 x 15mm 可
    • *3: カーボンファイバーチューブ内径4mm

購入パーツ

単純に合算して $89.37 + Tax なのでざっくり $100 弱。

追加設計印刷パーツ

使用フィラメント

フィラメントは熱による変形を考慮して全てPETGにて印刷。PLAの方が綺麗にできるんだけど。

印刷パーツ

オプショナルパーツも含めて複数アップされているのですが、実際に私が利用したパーツは以下の通り

  • STLファイル
    • jax_neck_part1_full_fingerboard.stl
    • jax_neck_part2_supports_without_fingerboard.stl [*4]
    • jax_neck_part3.stl [*5]
    • jax_waiste_right.stl [*6]
    • jax_waiste_left.stl [*6]
    • jax_upper_bout_blank.stl
    • jax_lower_bout_with_extra_mounting_holes.stl [*7]
    • jax_chinrest.stl
    • jax_shoulder_rest_hinge_angled.stl
    • jax_shoulder_rest_mount.stl
    • jax_shoulder_rest.stl
    • bridge.stl
  • 注釈
    • *4: jax_neck_part2_without_fingerboard にサポート設定して印刷した方が綺麗にいくと思うので、こちらの方がオススメ。先が曲がったカッターがあってカーブをうまく切り取れるならサポート付きを利用することも可能
    • *5: jax_neck_part3_with_compartments.stlもあるんだけど、こちらの目的がわからなかったので通常のSTLを使用
    • *6: オリジナルSTLだとPrusaSlicerで隙間が出てしまったため一度Fusion 360に取り込み、単純に再出力したものも使用した。ただ再出力したものもSlicerで不具合が出たため、オリジナルと再出力をSlicer内で結合して最終解決
    • *7: 顎当てと肩当てを結合する場合にはこの extra mounting holes がないと接続できないので注意

jax_neck_part1_full_fingerboard

オリジナル版は分割印刷のあと接続し、やすりがけの流れのようだったけれどアップデート版 (jax_neck_part1_full_fingerboard) ではフィンガーボードを一発で印刷できるのでこれを採用。

角度をうまく回して、そして移動させて、サポート部分も含めて印刷できるようにするのがポイント。

印刷設定

  • PETG (SUNLU PETG BLACK)
  • Perimeters: 3 (1.2mm)
  • Infill: 20% (Gyroid)
  • Layers: 0.15mm

Perimetersは4にして、Infillももう少し増やした方が良かったかも。

jax_neck_part2_supports_without_fingerboard

part1_full_fingerboardに対応しているのは、part2_without_fingerboardなんだけど、このpart2にはサポート付きとサポート無しの二種類がある。

この1つの選択に失敗した。

結論から言うとこの「サポート」付きのモデルはオススメしない。jax_neck_part2_without_fingerboard を使うべき。サポートを切り取るのが困難で、PrusaSlicer 2.6のオーガニックサポートを使って対応した方が良い。

jax_neck_part3

JAx Violin Part3 PrusaSlicer 2.6

下の部分の角度は耐えられない角度と判断し、PrusaSlicer 2.6 のオーガニックサポートで対応。

Part3 にも2種類デザインがあり、コンパートメント付きと無しがある。このコンパートメントの目的がわからなかったためオリジナルの方を採用。特に問題がなく、いまだにコンパートメントの方は何がメリットだったのかがよくわからない。

印刷設定

  • PETG (BuMat Magenta PETG)
  • Perimeters: 4 (1.6mm)
  • Infill: 15% (Gyroid)
  • Layers: 0.2mm

次やる時にはInfillパターンはGridにしたい。

jax_waiste_right / jax_waiste_left

このSTLファイルはPrusaSlicer 2.6でスライスすると途中が分離されて宙に浮いてしまう結果になった。そのためSTLファイルを一度Fusion 360に取り込み、SOLIDに変換したものを再度STLファイルを出力することで対応。

ただ、この再出力したものもPrusaSlicerで問題が出たため、オリジナルのSTLと再出力のSTLをSlicer上で結合して最終的な印刷は対応。右側の部分を見るとMergedになっているのがわかる。

印刷設定

  • PETG (BuMat Magenta PETG)
  • Perimeters: 4 (1.2mm)
  • Infill: 20% (Grid)
  • Layers: 0.2mm

jax_upper_bout_blank

別デザインとして jax_upper_bout_dragon_scales もある。竜の皮膚のようなデザインにしたい場合にはこちらを使えば良いが、特に必要ない場合はBLANKの方で対応可能。

jax_lower_bout_with_extra_mounting_holes

Extra mounting holesバージョンとオリジナルバージョンあり。顎当てと肩当てを印刷したものを取り付ける場合にはwith extra mounting holesが必須なので間違えないこと。

また結合する部分のビスを差し込む部分が浮いているのでサポートが必要になるので注意。

jax_chinrest

水平に印刷している例をよく見るが、90°回転させてサポートをつけた上で印刷してみた。

jax_shoulder_rest_hinge_angled

肩当ての接続に使うL字型のヒンジ部分。90°と少し広角になっているバージョンがあり、広がっている方を採用。

jax_shoulder_rest_mount

顎当てと本体を接続するベースにもなっているので顎当てのみを使う場合にも必要。

jax_shoulder_rest

肩当て。90°回転させて印刷。サポートを設定しないと印刷が雑になる部分もあるので要注意。

bridge

ブリッジは市販のものを使うこともできるがまっすぐに合わせるためにカットしなければならず、印刷したものを使う方が勝手が良いと思う。